由来
中国南部、ベトナム、セイロンに自生・栽培されるクスノキ科の常緑高木、桂・支那肉桂(Cinnamomum cassia )の樹皮。そのため本来は「桂皮」であろうが原文では「桂枝」となっている。Cinnamomum cassiaの若い枝を桂枝と言うが、生薬として使用するのは大きな樹皮である。原典でなぜ桂枝と言うのか、その理由は不明である。代用品としては邦産の肉桂(Cinnamomum sieboldii)の根皮。
性状
油分が多く辛い物が良品。裏が赤紫色で甘い香気が漂う。辛味が抜けたり黒くなったものは良くない。樹皮を剥ぎ、乾燥させ砕いて用いる。
薬徴
衝逆を主治するなり。旁ら奔豚、頭痛、発熱、悪風し汗出で身痛するを治す。
解説
非常に多くの漢方処方に配合される桂枝である。熱帯産の植物のためベトナム産が多く流通し、また良品である。お菓子や料理に使用されるシナモンも通常このCinnamomum cassiaである。京都八つ橋は昔は国産Cinnamomum sieboldiiを使っていたようである。
衝逆とは気の突き上げること。桂枝を使用する一番のポイントは気の突き上げである。顔が赤ければまず桂枝の配合された薬方を用いるべきである。
薬効
のぼせ、頭痛、解熱、鎮痛、精神安定作用など。
処方
- 桂枝湯
- 桂枝茯苓丸
- 桂枝加竜骨牡蛎湯
- 苓桂朮甘湯