ヘルパンギーナは、コクサッキーウイルスやエコーウイルスなどのピコルナウイルス科エンテロウイルス属に感染することによって、発熱・喉の痛み・口腔粘膜の水泡が現れる病気のことをいう。
水疱が破れ痛みを起こし、飲食ができなくなることで脱水症状に陥る。重症化すると髄膜炎や心筋炎を発症する。
感染者は9割が5歳以下の乳幼児だがまれに免疫力の落ちた大人が感染することがあり、その場合は症状は強く現れやすい。
接触感染と飛沫感染により感染が広がる。ウイルスに感染後、2~4日ほどの潜伏期間を経て発熱を伴う喉の痛みが現れる。同時に口の中には直径1~5mm程の水膨れができる。発熱や喉の痛みは発症後2~4日ほどで自然に軽快するが、水膨れは破れ、潰瘍となる。
ヘルパンギーナは喉や口の中の観察によって診断を下し、検査を行い確定診断をするケースは少ない。しかし、確定診断の必要がある場合には、口・喉の粘液、水膨れにたまった液体、便などにヘルパンギーナの原因ウイルスの遺伝子が存在するかPCR検査が行われる。また、血液検査で原因ウイルスの抗体の有無を調べることが可能で、髄膜炎や心筋炎を発症した際、診断のために検査を行うことがある。
疫学パターンはエンテロウイルス属の特徴に沿い、熱帯では通年性にみられるが、温帯では夏と秋に流行がみられる。