DNAウイルスで、51種類の血清型および52型以降の全塩基配列による遺伝型があり、A – Gの7種に分類される。多くのアデノウイルスは、潜伏期は5〜7日で、感染経路は便、飛沫、直接接触による。インフルエンザのように空気感染はしない。多くの型があるため、免疫がつきにくく、何回もかかる。
呼吸器感染症、肺炎・脳炎:主として3・7型による。
特に7型は重症の肺炎を起こす。乳幼児がかかることが多く、髄膜炎、脳炎、心筋炎などを併発することもある。長引く発熱、咳、呼吸障害など重症になることがある。
咽頭結膜熱(プール熱):主として3・4型による。
39〜40度の高熱と、37〜38度前後の微熱の間を、上がったり下がったりが5日ほど続き、扁桃腺が腫れ、のどの痛みを伴う。その間、頭痛や下痢を伴い、耳介前部および頸部のリンパ節が腫れる。目が充血し、目やにが出る。夏にプールを介して流行するため、プール熱と呼ばれるが、プールに入らなくても感染する。うがい、手洗い、プールの塩素消毒などで、ある程度予防できる。夏のインフルエンザと呼ばれる。
学校保健安全法上では、主要症状がなくなった後、2日間登校禁止となる。
流行性角結膜炎(EKC):主として8、19、37、53、54型による。
目が充血し、目やにが出るが、咽頭結膜熱のように高い熱はなく、のどの赤みも強くはない。片目発症後4~5日後に反対側の目も発症することがある。結膜炎経過後に点状表層角膜炎を作ることが多く、幼小児では偽膜性結膜炎になることがある。角膜混濁を発症することがあり、数か月以上も症状が残ることがあるので眼科での治療が必要である。
通常症状が治るまでに2~3週間かかる。
学校保健安全法では、医師により伝染のおそれがないと認められるまで出席停止とされている。
出血性膀胱炎:主として11型による。
排尿痛があり、肉眼的血尿が出る。膀胱炎症状は2 〜 3日で良くなり、尿検査での潜血も10日程度で改善する。
急性濾胞性結膜炎:主として1・2・3・4・6・7型による。
眼の痛み、羞明、涙目、目やにの症状に加え、結膜に小さなぶつぶつができる。
胃腸炎:主として31・40・41型による
腸管アデノウイルス胃腸炎と呼ばれる。。潜伏期間は、3〜10日。食品中では増殖しないため、人から人への感染様式で広がる。乳幼児期に多く、37℃程度の発熱、腹痛、嘔吐、下痢を伴う。
アデノウイルスは環境により10日間以上生き残ることもある。また、消毒剤への抵抗性が強いので、塩素消毒が有効。
アデノウイルスは迅速診断キットで15分~30分くらいで診断できる。