由来
中国、朝鮮半島に自生、栽培されるマメ科多年草、黄花黄耆(Astragalus membranaceus)もしくは内蒙黄耆(Astragalus mongholicus)の根。
性状
根は棒状で軟らかい。4~6年物を乾燥、刻む。内部は黄白色で味は甘く、香気があるものが良い。また、太く、弾力があり、折れにくく、刻むときにもねっとりと容易に切れないものが良品。
中国山西省の綿黄耆と呼ばれるものが上質。その皮部の繊維性が強く、折ると綿状になるからその名がついたとも言われる。
薬徴
肌表の水を主治する也。故に能く、黄汗・盗汗・皮水を治す。又、旁ら身体の腫、或いは不仁の者を治す。
解説
黄耆は補薬の長と言われることがあるが、吉益東洞は明確にこれを否定している。生薬は病を除くのみで体を養うのは食べ物であると。
薬徴によると黄耆は身体の表面の水毒を除く。ひどく疲れた時など肌に嫌な汗をかいていることはないだろうか。また、筋肉衰え、皮膚がたるみ浮腫んだようなものにも良い。傷が治りにくかったり、潰瘍になっているものの治りも良くする。東洋人(黄色人種)は西洋人に比べ皮膚の傷の治りが遅いという。皮膚のコラーゲン生成能力などが関係するのだろうか。貧血が酷いと肌は黄色く見えるが、当然そういう時も傷は治りにくい。黄汗といい、何かと黄色に関係する生薬である。